『闇の中の幽霊』(4)※R18

半パラレルです。
小松の職場が違います。あとは原作ベースです。

※R18要素があります
 
 
 
 
『闇の中の幽霊』
 
(4)
 
 
 
「小松!おい小松!」
ベールとカツラを取り払い、小松の顔を正面から見据える。
聞こえていないのか、目は虚ろなままでオレを見ていない。
何が幽霊だ。
何が娼婦だ。
小松を毎日見ていながら、なにひとつ理解していなかったのだと思うと、昨日までの自分を殴り倒したくなった。
「くそっ」
半開きの口は、さっきまで啣えていた男の精液で汚れていた。
高めに詰められた襟まで精液で汚れているのが気持ち悪く、服は脱がさず引き裂いた。この服が小松を支配しているような気がして、二度と着れないように何度も裂いた。
ベールも裂かなければ、と手を伸ばした自分を小松が阻止する。
「邪魔するな。あんなものがある限りお前は…」
と言いかけたところで小松の目的が違う事に気が付く。
小松は、オレのズボンのベルトに手をかけていたのだ。
「なっ…?!」
ガララワニの革で出来たベルトが硬すぎたのか、緩めるのを諦めた小松が服の上から性器を撫で上げる。
「止めろ、小松。もうそんな事はしなくていいんだ」
小松は喋らない。
左手は裸体の自分の雄の部分を隠している。
女と変わらない体躯の、そこを隠せばますます性別があやふやになった。
雄を感じさせない“教育”の賜物なのだ。
「小松」
耐えられず、抱きしめる。
小さな身体は簡単に腕の中に納まった。
思うままに抱きしめたら、どこかが折れてしまいそうな。
そんな小さな身体で。
思い浮かべることすら汚らわしい仕打ちに耐えてきたのだ。
「すまない、小松」
もっと早く、救えた筈だっだ。
もっと長く、本当の笑顔が見れた筈だった。
「……」
ゆっくりと、細い腕がオレの首に回り抱きしめ返され、やっとこの夜が終わったと思った瞬間。
小松の腰が揺らぎ始めた。
 
夜という名の闇はまだ、終わっていなかった。
 
 
 
どうすればいい。
おそらくは、目の前の男(オレ)をイカせない限り小松の“仕事”は終わらないのだろう。
気絶させようかとも思うが、もうどんな小さな苦痛も小松に味わせたくない。
どうすれば正気になってくれる?
(…正気に?)
オレはある考えのもと、ズボンのベルトを緩め、ジッパーを下ろして自身を取り出した。
気配を察した小松が腕を緩めて身体を下半身に移動させ、…固まった。
(我ながら、なんて方法だとは思うぜ)
娼館のナンバーワンの嬢をして「なにコレ」と呟かせ、素に戻らせた愚息。
それを前に、小松がヒュッと息を飲むのをオレは聞き逃なかった。
すかさず小松の身体を押し倒して中心を握りこむ。
「えっ…」
“そこ”は雄の象徴で小松にとって禁区の筈だ。
混乱し始めた小松の口に左手の指を入れて閉じれないようにすると、右手で中心を扱きあげる。
「や…そこ…ちが…らえぇ!」
やっと声が聞こえた。
同時に怒りに似た思いが込み上げる。
お前に、今、触れているのは、オレだ。
「オレを見ろ、小松」
時に緩く、時に激しく緩急をつけて責め立てると閉じれない口から嬌声が漏れた。
「あ…っ、や…、ン」
「オレだけを、見てくれ」
「ぁ…ぁあ…っ!」
 
出したままの息子が僅かに反応する。
どうせコトが終わるまで小松はこのままなのだ、と都合のいい考えが頭を過ぎったその時。
 
「ごめんなさ…い、皆さ…もう…許してください…!」
オレの血の気が引くのと、小松が気を失ったのは同時だった。
 
 
 
続く